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その後、悪徳医者(僕)の手術は無事成功して、患者(こう太)は無事助かって、お兄さん(春幸)としっかり抱きしめ合って、エンドとなる。
やっぱり三人だと、色々配役が増えて楽しいなぁ。
お父さんとやると、悪徳医者か患者しかないからなぁ。
で、お父さんは大抵悪徳医者しかやらなくて、ズルいんだ。
そんなことを思い出しながら、次はどんな役にしようか?って言ってみると、二人は正座したまま俯いていた。
何となく、気まずそうに二人でチラチラとお互いを見ている。
「何?どうしたの?」
「あのね、垓くん、そのね…」
二人はもじもじしながらお互いに目配せしては何が言いたげに口を開けたり閉じたりしている。
その態度が何だか気に障って、思わず「何だよ?」とキツイ口調になってしまう。
こう太は僕の顔色を伺いながら、意を決したように叫んだ。
「お医者さんごっこって、こういうんじゃないと思うんだ!!」
こう太の言葉に、春幸は飛んでいくんじゃないかっていうくらいに、首を大きく縦に振った。
最初、いきなり何言い出すんだとポカンとしてしまったけど、じわじわと言われた言葉に腹がたってくる。
「はぁ!?何言ってるの?これ以外に何があるの?」
「あ、あるんだよぉ…」
「垓くんのお医者さんごっこは、ちょっと違うっていうかある意味あっているというか…」
こう太と春幸はそう言うなり顔を赤くしてうつむいたままだ。
違う、って言われたところで、ちゃんとした理由がないなら納得なんてできない。
二人にそう言ってみても、えっとね、というばかりで二人ともちゃんとした説明なんてしてくれない。
僕の知っている悪徳医者ごっこはお父さんから教えてもらったものだ。
本物の医者であるうちのお父さんが嘘をつくはずがないじゃないか。
そう二人に言ってみても「間違ってないし、嘘じゃないんだけどねただ…」ってもにょもにょするだけだ。
だから。
「と、とりあえず小学六年生でお医者さんごっこはやめ…」
「じゃあさ、二人が知ってるお医者さんごっこ、僕の前でやってみせてよ」
「」「」
二人の目玉が飛び出して弾けとんだ。
「本当のお医者さんごっこっていうのを知ってるんでしょ?二人が見せてくれるまで僕納得しないからね」
そう言うと二人の顔が赤くなったり青くなったりする。
そして二人は僕に背を向ける形で部屋の隅に行くと、ボソボソボソボソと何やら作戦会議を始めた。
ときおり「えぇ!?こうちゃんズルイ!!」「だだだだだって!恥ずかしいもん!!!」という声が聞こえてきた。
それからいきなり二人は怒涛の勢いで、
「ジャンケンポン!!!」
「あっちむいてホイ!!!」
「ジャンケンポン!!!」
「ああああっちむいてホイ!!」
あっちむいてホイを始めた。
三十回くらいやっただろうか。
「勝ったぁぁぁ!!!ボクお医者さん!!」
「う、うえぇええぇえぇぇん!!」
こう太が勝ってこう太がお医者さん、負けた春幸が患者役になった。
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