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蓮と映画を見た土曜日から六日経った。あの日から蓮とは直接会っていない。
今日は金曜日。
蓮が、冴って子に告白する日だ。
「今日も大変なんだろうな」
購買で買ってきたパンの袋を開けながら、隼人が深い溜息を吐く。
俺は心臓がいつ破裂するか心配で仕方ない。
破裂したら違う意味で怖いけ
ど。
「そうだな」
ミルクコーヒーのパックにストローを刺して、ずずっと吸い込む。
いつも甘く感じるコーヒーが、今日はブラックを飲んでるんじゃないかと思うくらい苦く感じた。
「じゃ、放課後頑張ろうな」
昼休みが終わると、隼人は自分の席に戻って行った。
嫌な日と言うものは時間が経つのが遅いと言うけれど、俺はこの時だけ凄く早く感じた。
結果を早く知りたいけど、知りたくない。
授業なんて、一切頭に入らなかった。
放課後、掃除が始まる前に蓮は俺の所にやって来た。
彼、仲谷冴を連れて。
「おー!もしかして、この子が前言ってた子!?連れて来たって事はもしかして…」
いつも、遠くから見ていた隼人が今日は違った。
いつもと違う様子の蓮と、連れて来た男の子。
それを見た隼人は嬉しそうに俺達の所に駆け寄って来た。
「そうだよ。俺と付き合ってくれる事になったんだ」
照れた様に笑う蓮の横で、彼も同じ様に笑う。
「…振られると、思ってたのに」
まさか、付き合うことになるなんて。
現実なのか?
夢じゃないのか?
「うん、俺も自信なかったんだけど、冴も俺の事気になってたみたいでさ」
蓮の手には、彼の手がしっかりと繋がれていた。
あぁ、これは…現実なんだ。
「そ、なんだ。よかったな。やっと恋人ができて」
「うん。可愛いでしょ?」
「そうだな」
確かに彼は可愛かった。
大きな瞳に深くくっきりとした二重。綺麗に真っ直ぐ伸びる鼻の下には小さな唇。
男でも、惚れてしまうんじゃないだろうか。
それ程、彼には魅力があった。
「あの、1年の仲谷冴っていいます!高安先輩ですよね?お会い出来て光栄です!!」
蓮と繋いでいない方の手が出され、渋々その手を握った。
俺よりも小さくて、温かい手。
「高安先輩は僕のクラスではアイドルなんですよ!クールでカッコ良くて、笑顔が見れたらレアだって言われてます。お近付きになりたい人が沢山いるんです!」
いや、全然クールじゃねぇし。レアとか、アイドルってなんだよ。
俺より、絶対…
「…君の方がアイドルだと思うけど」
周りがホラ、君を見てるじゃん。
俺はそんな柄じゃない。
「嬉しいですっ!」
頬が桜色に染まり、花が開く様にふわりと笑う。
可愛いと、思った。敵わないって、思った。
蓮と繋いでいた手を離し、その手を俺と握手している手の甲に重ね、両手で握り込まれた。
彼が蓮の手を離すくらいなら、俺がその手を繋ぎたい。
もう、遅いけど。
叶わない、願いだけど。
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