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「…今日からあいつの話を聞かなくて済むな」
蓮は恋人を紹介する為に俺の所に来ただけで、仲谷冴が俺に挨拶してから二人は仲良さそうに手を繋いで教室を出て行った。
これで、蓮の話を聞く事が無くなったかもしれない。
土曜日の外出も、もう、出来ないのかな。
俺の部屋に来て、ご飯を食べる事も、無い…かもしれない。
不安で堪らなかった日が、俺に会いに来てくれたあの日が、無くなってしまった。
「尚?どうした?」
眉を下げて心配そうに俺の顔を覗き込んで来る隼人に、何でもないと笑って見せた。
「尚、今…」
「なに?」
「いや、帰ろうか」
「おう」
帰る途中、蓮の教室の前を通った。
蓮が好きな俺の目は勝手に彼を追い掛ける。
そこに映る蓮は、仲谷冴と笑い合っている姿。
仲谷冴の、恋人の、蓮の姿だった。
「ぁ…」
一瞬目が合って、蓮は直ぐに俺から目を逸らした。
こんな事になるのなら、自分から友人の関係を壊してしまえばよかった。
蓮が俺から離れて行く事が恐くて、伝えられなかったこの気持ちをさっさと言ってしまえば、こんなに苦しくなる事なんてなかったかもしれない。
臆病な俺はただ、遠くから彼を見ている事しか出来なかった。
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