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2ー08
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足首に負担を掛けないようギリギリで着地した俺は、倒れ込む大猪の側に駆け寄る。
…やっぱり、思っていた通りだ。
「あれ?祓ったんじゃないの?」
遅れて俺の後ろに着地したザクロが翼をしまうと、不思議そうな声を漏らして近寄ってくる。
その問いに振り返らず、大猪に視線を向けたまま返答した。
「コイツに取り憑いてた邪気だけを祓ったんだ。初めて実戦したから、上手く出来てれば良いけど」
「…………へぇ」
…ん?
ザクロの妙な反応に、俺は振り返って顔に視線を向けた。
「何だよそのへぇって」
「!いや…さっき危うく殺されかけた相手を助けるなんて物好きというか、章人って…ビックリするくらいお人好しだなーと」
そうか?
昔からこういう選択を自然にしてきたから、差ほど考えもしなかったけど。
しかしその言い方はどう受け取れば良いのか地味に困っていると、大猪が微かに呻きながら目を覚ました。
表情を伺う為に、俺はコイツの顔を覗き込む。
「おい、大丈夫か?」
「……………お主は」
「俺は章人。お前、さっきまで此処で暴れまわってたんだ。覚えてるか?」
「……いや」
少しずつ語り出した大猪の話では、遠い山地から旅をしてこの地にやってきて、疲れを癒やす為に裏山にある小さな川の畔(ほとり)で休憩をした際に油断して怨霊に取り憑かれてしまったらしい。
弱っている時に付け込まれたのなら、どうしようもないな。
「お主等には本当に申し訳無い事をした…我を救ってくれた事、心より感謝する」
「別に良いって。旅、気をつけろよ」
軽い会釈をして立ち去っていく大猪。
そんな彼の姿が見えなくなると、ひょっこりと現れた唐傘やニノが、安全な場所で事の次第を見守っていたらしく、ありがとうと笑顔でお礼を告げ…俺達の前から離れていった。
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