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自然と豊を抱きしめる腕に力が入る。
豊を手放したくなくて。
こんな俺を知られたくなくて。
「太一さん。何かあった?」
ピクン、と思わず体が反応してしまった。
豊はそれを見逃してくれてはくれなかった。
「何があったの?」
「…何もない…」
「本当に?」
グイッと俺を引き離してじっと見つめてくる。
俺は思わず目線を逸らした。
「ねぇ、俺前に言ったよね?
太一さんが嘘ついてもわかるって。
正直に言って?」
「……本当に何もないから……」
「…嘘つくの下手すぎ…
でもわかったよ…言いたくないなら…」
俺は本当にダメだな…。
こんな年下に気を使わして…。
豊…ごめんな…。
俺が勝手に嫉妬してるだけなんだ…。
「ごめん…豊…
ごめん……」
わかってるんだ…本当は。
俺じゃ豊を幸せにできないことくらい…。
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