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今さら
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「いや、だって真山と藤川って…ちょっと前から付き合ってたじゃん?」
「え?いや、付き合ってな…」
「いやいや、嘘つけよ」
「嘘じゃねぇよ!」
「今だって現在進行系でイチャイチャしてるし」
「これはお前、あれだよ…不可抗力だよ…」
「え、でもほら…プリンあーんとかやってたじゃん?」
「いやだから、あのときはまだ付き合ってな……」
「え?」
「え?」
「え、じゃあ…付き合ってもないのに、あんなことしてたの?」
「…………」
今さらかよ。
そうだよ、だから恥ずかしかったんだよ、くそ。
俺の無言を肯定と取ったのか、みんなの顔が赤くなってく。
「えぇぇぇぇマジで!?」
「じゃあ、あの間接キスとかも…!?」
「わぁぁぁやべぇエロい!!」
「真山ずるくね!?エロくね!?」
「あー、藤川きらいだわー」
「キモいなー藤川」
「…………」
あぁもう、言うんじゃなかった。
すごいデジャヴ。
なぜか俺が言われのない暴言を浴びせられるところまですごいデジャヴ。
「元気だして、藤川」
小さく呟いて、優しく頭を撫でてくれる真山。
ありがとう、ちょっとしかヘコんでないから大丈夫。
だから、そろそろ抱きしめる手を離してほしいな。
「え、で何?今は付き合ってんの?」
「うん…」
「しねよ藤川」
「…………」
相変わらず林が俺にだけ当たりが強くて泣きそう。
もう病んじゃおうかな、とか思っていると、底抜けに明るい声がした。
「とりあえずさー、二人ともおめでとー!」
自分のことみたいに嬉しそうに。
ぱっとその場の雰囲気が変わる。
「…成宮……」
お前は、なんていいヤツなんだ。
やっぱり持つべきものは親友だな…。
「あずにゃんおめでとー♡」
「おめでとう藤川ー」
「真山もおめでとー!」
成宮をきっかけに、さっきまで騒がしかったヤツらも、ちゃんとお祝いしてくれて。
嬉しいけど恥ずかしい。
「なぁ、これ何の騒ぎー?」
「藤川と真山が付き合うんだって!」
「マジかよ!」
あぁ…また学年中の生徒を巻き込んでパニックになるのか。
憂鬱だな、と思っていたら、タイミングよくチャイムが鳴った。
ホームルームに遅れると面倒なので、集まりかけたヤツらは、また教室に戻っていく。
「…よかったね、信じてもらえて」
「あ、うん…」
クラスのみんなも着席し始める中、真山が俺にだけ聞こえる声で言った。
俺も席に着こうとしたけど、真山に後ろから抱きしめられてるから動けない。
「…あの、真山…」
「ん?」
「そろそろホームルーム始まっちゃうよ?」
「離してほしいの?」
「うん…」
「じゃあ、またあとでね」
ちゅっと俺の首筋にキスをして、真山は席に戻っていく。
とっくに赤くなってる顔は、もう隠す気も起きなかったし、そんな気力も残ってなかった。
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