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ちゅー?
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帰りの電車の中。
空いてる席に二人で座ると、なぜか成宮がそわそわし始める。
「…どうしたの、お前」
「え!?な、何でもないよ!」
「嘘つけ」
「…………」
ぎゅっと自分の手を握りしめる成宮。
なんか真面目な話でもあるのかな、と考えていると、覚悟を決めたように話し出した。
「…あ、あのさ…」
「うん」
「……昨日、みんなが騒いでたので、そのことなんだけどさ」
「うん…?」
いや、日本語不自由かよ。
大丈夫か、こいつ。
なんでこんな緊張してんの。
「…ふ、藤川って、その……」
「なんだよ」
まったく話が見えなくて、仕方なく言葉の続きを待つ。
成宮は何が言いたいんだ。
「……真山と…付き合ってんの?」
はぁ…!?
「なっ…付き合ってるわけねぇだろ!」
信じられないセリフに驚いて、電車の中にいることも忘れて、大きな声をあげてしまう。
気付いたときにはもう遅くて、慌てて声をひそめる。
「バカじゃねぇの…なんでお前までそんなの信じてんだよ」
「だ、だってさっき…!」
「あ?なに」
「怖いよ藤川!なんで睨むの!?」
「お前がヘンなこと言い出すからだろうが!」
「ほ、本当に付き合ってないの…?」
「付き合ってねぇよ」
「…でも、さっき…」
「さっきなんだよ」
なんなのこいつ。
くっそイライラする……
「…その…真山と、ちゅーしてたじゃん…?」
思考が止まる。
一瞬、その光景を想像してしまって、ぶわっと顔が熱くなった。
「はぁ…!?なに言ってんのお前…!?」
そんな記憶は一切ないけど、こいつはいったい何を見たんだろう、とか考えて、頭が混乱する。
冗談だよな…?
「ごめん、覗くつもりはなかったんだけど…」
「覗くって…?どういうことだよ」
「…さっき放課後、藤川の教室まで行ったら…」
「うん」
「…真山と顔めっちゃ近づけてたじゃん。あれってちゅーじゃないの?」
「そんなことするわけねぇだろ……あ」
「ん?」
放課後、真山と話してるときに、ちらっと成宮の姿が見えたのを思い出す。
廊下にいた成宮からしたら、俺と額をくっつけて話す真山の後ろ姿は、確かにキスしてるように見えたかもしれない。
「…お前、それ誤解だから…」
それがわかると、体から力が抜けて、どっと疲れが押し寄せてくる。
あれ、ちがうの?と不思議そうにしてる成宮。
人の気も知らないで…と思ったけど、成宮が残念なのは今に始まったことじゃないな、と考え直して、ちゃんと一から説明した。
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