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寂しいの
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あれから真山は、ずっと俺に抱きついて甘えていた。
可愛いからいいんだけど、一つだけ疑問がある。
(…なんでこんなに引き止めるのかな)
さっきも言ったけど、一生会えなくなるわけじゃないのに。
ちゃんと学校に行けば、明日も会えるのに。
「…真山」
「ん?」
「俺が帰ると寂しい?」
「……うん」
しゅんとして呟く真山。
そうか、寂しいのか。
抱きしめ返して、ふわふわと頭を撫でながら、引き続き考える。
俺が帰ったあとのこと。
(…あー…わかったかも…)
俺が帰っちゃったら、真山はこの広い家に一人ぼっちだ。
俺は、家に帰ったら親も弟もいるけど……
(そうだよな、寂しいよな…)
親が忙しいのはしょうがない。
けど、兄弟がいないのは…俺には想像もつかないけど、きっとすごく寂しいんだろう。
話してくれる人も、遊んでくれる人もいなくて。
俺なら、暇すぎてしぬかもしれない。
(一人っ子って、そういうことなのか…)
好きな人と、甘ったるい時間を過ごしたあとに、急に一人ぼっちになるのは…考えただけで辛い。
俺が帰ったら、真山はそれだけ寂しい思いするんだよな…。
「……真山」
「ん?」
ぎゅっと抱きしめて、名前を呼ぶ。
顔を上げて、俺を見る真山。
「…ごめんな、寂しい思いさせて」
まっすぐ目が合って、そのまま見つめ合う。
真山は微笑んで、不思議そうに俺に尋ねた。
「どうしたの、急に」
「だって、俺が帰ったあとの真山のこと考えたら…」
冷たい指が頬に触れる。
唇にも。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ありがとう」
くすくす笑って、ちゅーされる。
ちょっとだけ元気出たけど、このあと真山に寂しい思いさせちゃうことには変わりない。
「…なんかないかな。真山が、明日まで寂しくない方法」
「何かしてくれるの?」
「んー…何かいいアイディアある?」
「んー……」
何かあげるとか…消えないものがいいと思うんだけど。
消えないもの……
「あ」
「ん?」
あるじゃん。
真山が寂しくないように、明日まで消えないもの。
「…いいこと思いついた」
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