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夏の妖怪大運動会 10
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「...俺は、さっきまで本気でお前を喰いそうなくらいに、正気を失っていた。こうやって自我が無くなっていくのかと、恐ろしくなった。仙狐の癖に、笑えるだろう。本能でお前を求めていたんだ」
「...俺を喰えば、銀司さんは助かるの?」
「....いや、...まあ、違う意味で喰っても楽になるから、本能でお前の所に来た」
顔がぐちゃぐちゃになる程の量の涙が、一瞬止まった。
「いや、だからな、お前と沢山キスをして妖力を分けてもらおうと思って」
「....」
「あまりにも寝顔が可愛くておでこにキスをして、そしたらムラッときた」
「...それは俺が純血の鬼だからそうなったの?妖力の為だけ?俺じゃなくても、良かったんでしょ」
「まあそれもあるが、最初の方に言った通り顔がドストライクで俺の好みだし、毎日夕飯作ってくれるし、キスした後の照れた顔とかふとした瞬間に見せる笑顔とかにもぶち抜かれてるし、だから若葉が多少妖力の弱い弱小妖怪でもお前にキスをしてムラッとしていたと思うし、今は若葉じゃなきゃ嫌だ。お前だからキスしたいと思うんだ」
ここまでハッキリ言い切られたら逆に清々しいし、さっきまでの取り乱して泣いていた自分が死ぬほど恥ずかしい。
「...ねえ、俺ってあんたの何なの」
「 嫁 」
「...本当、銀司さん嫌い」
「俺は今まで生きてきて一番若葉が好きだし、お前に心底惚れてるけど」
その言葉を聞いて、止まっていた涙がまた溢れ出す。
俺が怖くて言えなかった言葉を、サラッと言ってのける銀司さんが、すごいと思う。
そういえば、妖怪の世界じゃホモって普通なんだっけ
「...本気だから」
「......」
「なあ、若葉。俺のものになって」
千切れそうなくらいに、胸が痛む。
痛くて、切なくて、嬉しいその響きを、噛み締める。
「...銀司さんも、俺だけのものになってよ」
ボソッと呟いたその言葉を飲み込むように、優しいキスが俺を包んだ。
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