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衣装部屋の整理整頓は心掛けろ
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「待たせたな」
四郎ちゃんが自室から出てきた。
いつもと違う、黒い燕尾服に片眼鏡、白い手袋。
無駄にかっこ良くて,俺は言葉を失い,しかし反射的に抱きつく。
「やばい四郎ちゃんかっこよすぎだって...抱いて...」
そんな俺を軽く引き剥がせば「今は仕事だ」と冷たく言う。つれねえなあ...一回くらいやってからでも間に合うと思うんだけど...
仕事人間の四郎ちゃんにそんなこと要求しても無駄に決まってると思えば俺は四郎ちゃんにの腕を取る。
「行きましょ,貴方」
少し高めの声音で,囁く。
四郎ちゃんが真っ赤になった。
襲いたくなる衝動を抑えればゆっくりと歩いて屋敷から出る。
2人で住むには大きすぎるが,外観も内装も綺麗で俺は好きだ。石畳を無言で歩いた。
門の前に,多分四郎ちゃんが呼んでおいたのだろう馬車が待っている。
先に四郎ちゃんが乗り込み,俺の手を取って引き上げてくれる。ドレスって動きにくいよな...
扉がばたりと締まれば鞭の音が響いて軽い振動が始まる。がらがらという車輪の音を聞きながら俺はポーチから口紅を出して軽く塗る。
舞踏会なんて初めてだし,すごく楽しみだ。
ふいに四郎ちゃんが口を開いた。
「御門,お前は些か隙がありすぎる。ただでさえ今日は女なんだ。お前の愛らしさ美しさに勝つ女はいないだろう。肩も背中もそんなに出てる。いいか,絶対体だけは触らせるな,何かあったらすぐ俺を呼べ,というか俺から離れるなよ」
「あーはいはい,ヤキモチ妬いちゃうもんね四郎ちゃん」
「...う...っいやそうじゃなくてだな...お前に何かあったら俺の仕事が増えるだけだから...」
説教っぽい四郎ちゃんの言葉に意地悪く返すと慌てて四郎ちゃんが言い訳する。可愛いなあもう...
「大丈夫だよ俺は四郎ちゃん意外の男なんか好きにならないよ?」
少し体を捻って四郎ちゃんの頬を両手で包む。眉を下げて首をかしげれば四郎ちゃんは頬を真っ赤にして照れた。
ちゅ,と唇同士を触れ合わせる。
本当だったらもっと行きたいけど,もうすぐ馬車は着くだろう。触れるだけで,我慢した。
少し四郎ちゃんの唇に紅がつくがむしろ虫除けとしてちょうどいいんじゃないかな。
俺はにっこりと笑った。
「着きましたよー」
馬車が止まり,馬夫が声をかけてくる。俺が先に降りて,四郎ちゃんはお金を払ってからひらりと飛び降りる。
同じようにドレスを着た女性や燕尾服の男性がどんどんと会場の中へ入っていく。
俺らも流れに任せて会場へ足を踏み入れた。
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