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出会い-1
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雛が大介と出会ったのは雛が高校一年生の時、梅雨の季節だった。
当時自宅近くの喫茶店でバイトしていた雛。
落ち着いた雰囲気のこじんまりとした店を雛はとても気に入っていた。
その日は朝から土砂降りで客足も少なく、店長と2人で暇な時間を過ごしていた。
「うーん、今日はもうお客さん来ないかもねぇ...予報もずっと雨だし。雛くん早く上がってもいいよ」
「いいんですか?」
「構わないよ、こんな年寄りと暇な店番じゃつまらないだろう?」
「そんなことないですよ」
「雛くんは優しいからねぇ。雨がもっと酷くなる前に帰りなさい」
白い髭を蓄えてニコニコと笑う初老の店長はいつも優しい。
店長の周りだけ時間がゆっくりと進んでいるのではないかと錯覚してしまう程に穏やかだ。
「そうですか...それじゃあ...」
「お言葉に甘えてお先に失礼します」と言おうとした雛の言葉は、お客さんが店のドアを開くベルの音で遮られた。
チリン...という音と共に店に入ってきたのは長身の男。
雨に降られたのか彼の着ているスーツは少し濡れている。
「おや、お客さんだ。雛くん、お願いしていいかな?」
「勿論ですよ」
「いらっしゃいませ」と挨拶をしながら男の元へ向かう雛。
「お一人様ですか?」
「ああ、はい...」
男は雛の顔を見て何故か驚いた様な表情になる。
「お好きなお席にお座りください......あの...お客様?」
いつまでも雛を見つめたまま動こうとしない男。
男はとても整った顔をしていて、これは一般的にはイケメンに分類されるんだろうな...とどうでもいいことを一瞬雛は考えた。
「あの...僕の顔に何かついてますか?」
「はは、雛くんが可愛くて見蕩れているんじゃないかい?」
「店長...!」
「いや...」
「いいですよ、彼はうちの看板娘ですからね」
「僕は女じゃないです...!」
雛と店長の遣り取りに、男は優しく笑い、やっと窓際の席についた。
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