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蕩けちゃう。
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雀が、柳瀬と何か話してる。
さっき恥ずかしくなって逃げてきたけど、気になってドアの方を見てたら柳瀬が雀を引き止めた。
あ、近い。
雀の顔がぐっと柳瀬に近づいて。
チラッと見えた雀の顔は、俺が知らない雀だった。
遠目でも分かる、怒りの感情。
それを全面に押し出していた。
あの無気力な雀が、だ。
雀が柳瀬に対して怒るとしたら、俺の事?
そう考えて、雀が俺を思ってあんな顔をしたのかと思ったら胸が熱くなった。
ついでに目頭も熱い。
愛されていると、嫌でも感じてしまう。
「いーぶき。何で逃げるの?....伊吹?」
雀が俺の顔を見て驚いたような表情をした。
当たり前だよな、だって俺が少し目を離した隙に泣きそうになっているんだから。
「どうしたの。また誰かに嫌がらせされたの?答えてみな」
「ちが...違う...雀が、俺、好きだ...。ありがとう」
支離滅裂で、言いたいことがわからない会話。
だけど雀はそんな俺の言葉を聞いて、微笑んだ。
「俺はね、伊吹が好きだから。それだけ。守ってあげるからね」
そう言い切った雀は綺麗だった。
朝の光にキラキラ反射する髪の毛とか、その下の白い肌だとか。
本当に、お伽話の王子様みたいで。
俺の心は蕩けそうだ。
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