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本音と告白
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「さん…信幸さん…」
彼の声がする。
泣いているのか、どこか震えた声。
鉛のように重くなった瞼を抉じ開けると
視界の端に彼を見つけた。
「ん……あいざ、わ…」
優しい香り。
彼の、彼だけの香りだ。
…夢?
「…ごめんなさい」
激しい頭痛と濡れた服。
それから少しの吐き気。
…違う、夢なんかじゃない。
「や…、めろよ…!!」
伸びてきた彼の腕をとっさに振り払う。
彼の指が頬を掠めただけで、僕の身体は熱を持った。
こんな…欲求不満、みたいな。
「…なん、なんだよ…お前…ッ」
悔しい。
僕ばっかり、あなたを好きで。
「…僕をからかうのが、そんなに楽しいのか…?」
苦しい。
僕には、あなたしかいないのに。
「もう…やめてくれ、やめてくれよ……」
辛いんだ。
僕だけが、何度も傷ついて。
“好き”と一言言われれば、
僕はすぐに舞い上がってしまって。
“信幸さん”と囁かれれば、
僕の気持ちは溢れ出して。
僕は単純なんだ。
「嫌い…ですか?」
またそうやって、僕を困らせる。
“嫌い”だなんて、そんなこと嘘でも言えない。
そんなこと、思うはずない。
僕の答えはわかっているくせに。
あなたは意地悪だ。
意地悪で、いつも余裕ぶってて。
年下のくせに僕より大人で、背も高いし。
甘えてくるし、時には突き放したりもして。
そういうとこだって、全部。
「す、き……」
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