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初めての人前
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俺がkプロに顔を出すようになってから3日が経過した。
今日は公開講演の練習の日。
仕事の合間を縫って、台詞も完璧に覚えた。
今日の授業の目的は、人の目に慣れること。
勿論演技を怠ってはいけないのだが。
衣装も前年度からのものを拝借させて貰っている。
ただなんと言っても初めて舞台に立つ為、俺の緊張は酷い。
それに比べて宿人先輩は、いつも通りのラフさ。
そんな時、俺の顔が強張っていたみたいで、宿人先輩が頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
「大丈夫、大丈夫。セリフ飛んでも、俺がカバーするし。それに俺らの本番は1ヶ月後だろ」
先輩は凄い。こんな時でも、周りを気遣うことできて。
いつか俺もこんな風になれるだろうか。
「はい、頑張ります」
---
「本番3分前です!持ち場について下さい!」
照明担当のスタッフが各役者に号令をかけた。
一気に周りの空気がしんとした。
足が少し震える。イベントと違って、今回は演技をするだけなのに。幕を開けば観客がいる。ただそれだけなのに。
「予行練習では出来てたからね!頑張って!」
舞台袖にいる林檎先生も、俺のことを気遣って声をかけてくれた。
3、2、1………
舞台の幕が上がる。次いで、真ん中の方からインディゴ色の淡い青のライトが照らされていく。
人を襲って魂を抜くと恐れられている悪魔。そこには、ある悪魔の王子がいた。
彼は、小さな夢を持っている。
「人の子と友達になりたい」
悪魔の王子を演じるのは宿人先輩。複雑な立場にいながらも純粋な希望をうまく表現していた。
着々と出番が近づいてくる俺。
俺が演じるのは、悪魔の王子のたった1人の人間の友達、ナギ。
悪魔に捉えられたところを、王子に助けて貰ったのがきっかけで仲良くなる。
_______
舞台に俺が出る間際、足がすくんでどうしても一歩が踏み出せなかった。
そんな時、場面ん転換でセリに戻ってきていた宿人先輩が背中を押してくれた。
「行ってこい、ナギ」
頷いて、舞台へと足を進める。
初めは、目まいがしそうだった。
眩しい照明、観客の視線、舞台上の緊張。
顔がゆるみそうになる。
それを飲みこらえて、俺の役を、セリフをいう。
「あの!________」
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