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Episode36
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「…青いなぁ…」
久しぶりに、声を出したかも。
ずっとスケッチブックに書いていたから。
体力のない僕でも割と登れたフェンス。
今はそのてっぺんに座ってる。
前に落ちれば死、後ろに落ちれば生。
そんな崖っぷちの状況を、何故か僕は楽しんでいた。
そして、こんな時に分かった、自由。
自分は、自由の中にいるのだと。
生死だって、自分で決められる。
自然の恵みで出来た舞台に、僕はいる。
少し下には、観客代わりのビル群。
観客は、僕の生死のどちらを望んでいるかな?
悲劇?喜劇?
でも、観客は悲劇が好きだもんね。
口では理想論を語っておきながら、悲劇を望んでいる。
悲劇によって自分が悲劇の主人公になったり、他人が悲劇にあったり。
人はそれを望んでる。
いつも、心の奥底で。
…死ねる。
フェンスが揺れる。
落ちる感覚と共に、途端に訪れた浮遊感。
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