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ナルセサクラ
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体内にあるローターが微かに動き始めた。我慢できない訳ではないのだが、普段強い刺激を受けている俺の体は焦れったい刺激が苦痛でしかなかった。
「じゃあ解散。あ、次の時間は自習だから。」
HRが終わり、俺は立ち上がることもできないため、とりあえず机上に頭を伏せ、赤くなっているであろう自身の顔を隠した。
キュッキュッという足音がだんだん近づいてくるのが分かる。松嶋だろうか。
「成瀬君だよね?」
少し顔を上げて、首を縦に振った。もちろん声は出さずに。そして顔を見せないように。
でも彼は椅子に横向きに座って、俺の顔を覗いてきた。
「顔、真っ赤だけど大丈夫?体調悪いの?」
関わってきて欲しくない。心配して欲しくない。だから俺は首を横に振った。
そんな俺の姿を見て、彼はフッと笑った。
「成瀬君の下の名前は?」
俺はできる限り下半身を動かさないように机の中からノートを取り出して、名前を書いた。
“成瀬春華”
俺はこの女の様な名前が好きではない。今までに間違えずに読んだ人などいない。
「なるせはるか?」
やっぱり。彼も間違えている。だがそれが普通であろう。読める人は逆にすごいと思う。
俺は横書きで書いた名前の上に振り仮名をふった。
「なるせさくら…。綺麗な名前だね。」
春の華と書いてさくら。華ではなくて花だったらまだ分かるのだが、何故か華という文字が使われている。キラキラネームな上、意味的にも俺にあてはまっていないと思う。どうせ彼も思ってもいないことを口にしているのだろう。
名前の下に“好きに呼べば?”って付け足した。
「じゃあ…春華って呼ぶね。」
誰になんて呼ばれようがどうでもよい。どうせ俺なんて忘れられるのだから……
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