アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ゆう12
-
手紙の端々には濡れて乾いたのであろう涙の跡が生々しく残っていた。
ゆうはその紙をクシャリと無造作に握り潰すと枕に突っ伏した。
ともは…
ともは何もわかってない…
またそうやって一人で片付けようとする。
そう、いつもこうやって俺は置いてけぼりをくらうんだ。
「ゆうー」
下から俺を呼ぶ母親の声がする。
ゆうはムクっと起き上がると、クシャクシャになった手紙を引き出しに押し込み階段をかけ降りていった。
俺の好物で埋め尽くされた食卓。
今日は退院祝いだと、父さんも早く帰宅してくれた。
前まではここにとももいて、
賑やかだった食卓。
好物ばかりのはずなのに、たった一人欠けているだけですごく寂しいものに感じられた。
もう二度とあの時間は取り戻せないのだろうか…
ともは自分のせいだと言う。
だけどほんとはそうじゃない。
俺が自分で自分を追い詰めたのだ。
ともはわかってない…
ゆうは目の前のご飯を、これでもかというくらいに胃の中に詰め込んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 78