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まさと55
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しばらく放心していた俺の肩をさとるがトントンと軽く叩いた。
それでようやく我に返る。
まるで夢でも見ていたかのようだったが、手にはしっかりDVDが握られていて、これが悲しくも現実であることを伝えていた。
「とりあえず座ってよ。まさとには話した方がいいかな、ゆうくんには言わないって約束したんだけど…仕方ないよね」
さとるはゆうくんごめん、と小さく呟いていたが聞こえないフリをする。
まさとは促されるままソファーに座るとさとるを見上げた。
「えーと、何から話そう?まさとは何が聞きたい?」
「何が聞きたいって…さとるは何を知ってんだよ、、」
と言いつつ大体予想はつく。
ゆうがボロボロになって帰って来た原因。
ゆうがしていたバイトってのがこれなのだろう。
「さとるはゆうがこういうことしてたの、最初から知ってたのか?」
どうしても問いつめようと口調がキツくなる。
「うーん、最初からといったらそうなるのかな、、DVDは元々持ってたものだから。引っ越しの時初めてゆうくんに会って驚いたけどね」
「まさかっ、、これでゆうのこと脅して…」
「ひどいなぁ、僕がそんなことするわけないでしょ」
いやコイツなら…
それで誕生日も強引に…
「朝から知り合いのAVなんか見て、さとるってほんといい趣味してるよな」
皮肉たっぷりに言ってやったのに、さとるは腕を組んでうーんと考え込んでしまった。
何とか言ってくれよ。
気まずい空気が流れる。
「…そこに映ってるゆうくん、能面みたいな顔してるでしょ、、」
すると少しの間があってさとるが考え深気に言った。
改めてケースの中のゆうを見る。
写真はどれも生々しく眉をひそめずにはいられない。
ゆうが可哀相だ。
でもその反面、とても妖艶でエロかった。
内容を想像せずにはいられない。
鼓動が速まるのを抑えながら表情を見れば、あの頃の何も映していないゆうの黒く沈んだ瞳がそこにはあった。
「僕はね、その人形みたいな少年が壊れていく様を見るのが好きだったんだ」
やっぱり悪趣味だ…
「だから生のゆうくんに会えて興奮してた。どうやって落としてやろうかって思ってたよ」
コイツ…ッ
正直にも程がある。
「でも一緒にいて、話してみて、すごく笑顔が可愛くて、このDVDのゆうくんとは全然違った魅力があった。僕は純粋に魅かれていって、大切にしたいって思ったんだ」
「…………」
何も言えなかった。
その一言一言にさとるが本気でゆうのことを想っているのが伝わってくる。
だから嫌だったんだ。
俺より歳だっていってるくせに、恥ずかし気もなく清々しい程に気持ちをぶつけられるさとるが羨ましい。
俺は何してるんだよ…
アイツの一番近くにいるってのに。
「でもね、この間言われたんだ。僕の誕生日の日に…」
まさとはゴクリと唾を呑み込んだ。
一番聞きたかったけど聞けなかったこと。
それが今さとるの口から聞かされようとしていた。
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