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ヒーロー計画16
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「聞けって。それで、毎月ヒーローショーやってんだよ」
「……は?」
風紀委員から突然ヒーローショーの話の持って行き方の雑さに眉を顰める。
「ヒーローショーの目玉と言ったら、悪役を倒してカラフルな爆発を見ることだろ?」
徐々に口調がヒートアップしてきている大樹。匡の困惑の表情など、彼の瞳には映っていない。口を挟む間もなくヒーローについての蘊蓄と、ヒーローショーへかける熱い思い。延々と語られることに疲れた匡は、ぐったりと机に突っ伏した。
「……クソっ。この1ヶ月、かなり無駄にした」
変態ストーカー野郎に付きまとわれるは、小柄な少年集団に襲われかけるはさんざんで、弟に会いに行くことすらままならなかったその月日を思い出しながら。結果このようなくだらないものだったと知らされた匡は、投げやりになっても仕方がない。
「というわけで、悪役をやれ。これは命令だ」
「誰がするか。ボケっ」
偉そうに、両手の指を組んで机の上に肘を置いた大樹に、考える間もなく吐き捨てる。
「……フン、お前。そんな悠長なこと言ってられるのも今のうちだからな。お前が弟を大事にしていることは把握済みだ。そいつをあのネコ集団に与えることなど造作もないことだ。いいのか、お前。弟があられのない姿でネコ集団に蹂躙されても」
大樹はピキリとこめかみに血管の筋を浮かべながら、それでも余裕の態度を崩さない。
「は? 何言ってんだお前? あのストーカー集団なら最近見かけないけど」
「そんなの、俺がぶっ潰したに決まってんだろっ。……あっ」
「お前、阿保だな。もう、俺帰るから」
あっさりと反撃にあい、撃退される大樹。彼は苦し紛れに、
「そ、そんなこと言うなら、お前の弟いじめるぞ」
その言葉はもうヒーローでも正義の味方でも、ましてや悪役でもなく、ただの幼稚な戯言でしかなかったのだが、
「てめぇ。言ったよな、俺の弟に関わるなって……」
急激に冷え込む室内に、ヒリヒリと皮膚を逆なでする空気にニヤリと口角を上げる。
「関わってほしくないなら素直に手伝え。俺は、自分から言った約束は守る男だ。お前が悪役やるってんなら手は出さねえ。だが、それが嫌だってんなら覚悟することだな。知ってるか? ブルーの奴、最近お前の弟と仲いいみたいじゃねえか?」
その言葉に匡は顔を上げて立ち上がる。大樹は止めない。
ドアを乱暴に開けると飛び出していった彼の姿に、ひっそりとほくそ笑む。
木織とその弟の仲がいいというのは噂で耳にしただけだ。どの程度の仲なのか、真偽のほどもそんなものは知ったことではない。
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