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ヒーロー計画46
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現状に待ったをかけられる者は、残念ながらいなかった。
次の日。
「マジか……」
「だから、禁止令が出たといっただろうが」
「いや、だって。料理ってレシピ通りに作ったならある程度は形になるだろ……」
「それができないからこその禁止令だが」
「昨日できるかもって言ったのはどこのどいつだよ」
「っそれは……お前に乗せられてつい」
再びレースがふんだんにあしらわれたファンシーなエプロン姿の匡と大樹。
「……食べろよ」
「ハッ、俺がか?」
「当たり前だろうがっ」
「無理だろ。だって、これ。人の食っていいもんじゃねえよ。なんだよ、この未知なマーブルは……」
皿の上に液状化した緑と茶色と黄色の混ざりきっていない物体がゆっくりと渦を巻く。形状を保っているものも焦げて真っ黒になっていたり、カピカピと変な光沢を放っていたり、見た目が無事なものは皆無だった。
「あとは、あれだな。ブルーんとこのお前の弟と友達呼んで対処してもらおう。昨日の今日で帰ったりはしてないだろうし。そうだ。それがいい! 弟ならお前の壊滅的な料理の処理方法なんかも知ってんだろ」
思い立ったが吉日。エプロンを脱ぎ捨てると匡のエプロンも剥ぎ取りともに木織の別荘へ向かう。終始無言な匡が気になりはしたが、それ以上に目の前の残骸をどうにかしたい気持ちでいっぱいだった。大樹の別荘は歩いて数十分。十分徒歩圏内ではあるが、その間ずっと何も言わない匡を心配するよりも先に苛立ちが募る。
「また怒ってんのか?」
「…………」
匡は大樹の問いに、顔を上げて彼を見るだけ。視線に鋭さは感じられず、怒っているわけではない。それからすぐに逸らされたため、真意は分からないままだった。
木織の別荘に到着。チャイムを押すが返事はない。
「何だよ。せっかく来たのにどっか行ったのか?」
勝手に来て勝手に怒っている大樹に匡は何か言いたそうに見るも、口を噤む。
帰るかもう少し待ってみるか大樹が言いかけたとき、数人の声が聞こえてきた。振り返ると季たちがいた。手を振り、早くこちらへ来るよう促す。
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