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起きない
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彗を氷雨が診ている間、彗に起きる気配は無かった。余程疲れていたのか、寝不足か。あるいは…やめておこう。
「…こいつの年齢は?」
「さぁ。今調べてるとこ」
「さっさとしろ。薬が調合できんだろーが」
「氷雨、俺に対してのアタリ強くない?気のせい?」
「休日返上の俺の身になってみろや」
「今度ゲーム奢るから」
「しかと聞いたぞ」
氷雨が欲しがってたゲームソフトぐらい安いものだ。このガキにもついでにいくつか買ってやるか。此処に閉じ込めるようなものだから、何か娯楽になりそうなものくらい与えても罰は当たるまい。
「…おい、旭」
「なに~?」
「コイツの必要なもの買いに行かせろ」
「え、俺行きたいんだけど」
「はぁ?」
「いいじゃん。本家行って俺達のお古持ってくるよ。母さんもまだ捨ててないと思うし」
「姉貴に変態扱いされるぞ」
「それは嫌だけど…」
氷雨が鬱陶しげな顔をするので、旭に任せてリビングから追い出した。
「夜月、見てみろ」
「なんだよ」
「コイツの脚」
右の膝下に、氷雨は何の躊躇いも無く右手を振り下ろす。だが、ガキは寝息を立てるだけで声は上げなかった。
「無いんだよ。膝下から」
「嘘だろ…」
潰れたズボンの裾を捲り上げると、空洞になっているだけで脚は存在していなかった。
「診たところ、生まれつきと言う訳ではなさそうだな。事故か、事件か、あるいは…」
「いや…調べさせてるから時期に解る…」
「に、しても細いな」
ふに、と氷雨がガキの腕を軽く摘む。骨と皮でできたようなもので、同年代の子供とくらべても脆弱だろう。
「ちゃんと食わせろよ。栄養剤つけといてやるから。食は同年代と比べて確実に細いようだから、無理に食わせようとするなよ。戻すと胃を傷つける上に強制されてると思ってもっと食えなくなる」
身体中を包帯に覆われても、余程深い眠りに落ちているのか全く起きる気配の無いガキの頭を一撫でして、氷雨が「治療終了、領収書あとで本家に送っとく」なんぞほざいていた。
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