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その日から俺は、また学校に行くのを辞めた。
委員長の態度も寺野にも、面白くない気持ちでいっぱいだった。
夜は頭の悪い連中と遊び、昼は家で時間を持て余す。
あの夜が来る前の俺と同じだ。
いや、そもそも変わったのは一日だけで、俺はずっと同じだったんだ。
そう考えると何となく楽になった。
あの興奮は気まぐれで、曖昧で、可笑しな夢のようなものだったんだ。
それなのに、それなのにだ。
何なんだこれは。
「ぅ…はあ、うえっ」
聞いた事のある苦しそうな声。
脳内で何度も再生した弱々しい背中。
それは紛れも無くあの男で、もしかしたら俺は異常なまでに考えすぎたお陰であの日に戻ってしまったんじゃないか、なんて馬鹿な推測さえ過ぎった。
だがそれは、当たり前だが間違いだと狭い空間が教えてくれる。
あの日と違ってビルとビルの間にある隙間に、その姿はあった。
俺に見られてしまったから、場所を変えたのかも知れない。
と言うか、多分間違い無くそうだろう。
それならそれで、もっと上手く隠れて欲しかった。
静まり返った夜の空気に微かに紛れた呻き声に、思わず覗いてしまったことを後悔し、頭を抱えたくなった所でしかしはっとする。
いや、こんな所に、俺が、今このタイミングで偶然にも見つけてしまうなんて、これはあれか。
────運命か。
子供めいた思考に自虐的に笑ってしまうが、気が付けば俺はまた声を掛けていた。
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