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開始
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SIDE古橋
開始早々にボールを取ったのは誠凛だった。
ボールを持っているのは伊月って言う男。
俺は小金井って言う男のスクリーンに回っていた。
誠凛のキャプテンの近くに居る黒子がニヤッと嗤った気がした。
嗚呼、御愁傷様。
ゴキッという、何とも言えないような音が響いた。
それは確かに何かが折れた音で。
誠凛のキャプテンである日向サンは顔を苦痛に歪めてその場に倒れた。
膝を抱えているのを見ると、黒子がイグナイトパスを膝めがけて打ったんだろう。
ほら、その証拠に黒子が嗤っている。
普段、表情を変えない黒子だが、試合の時はまるで違う。
壊すことを純粋に楽しんでいるような眼をしているのだ。
それはまるで子供が玩具で遊ぶかのように
楽しそうに、楽しそうに。
でもな、壊れたらそこで終了だ。
誰だって玩具が壊れたら新しい玩具を買ってもらうだろう?
古い、壊れた玩具なんかに誰も見向きなんかしない。
〝さっきまでソレを楽しそうに遊んでいた〟自分自身ですらも。
そしてまた新しいそれで遊ぶんだ。
壊れるまで
こわれるまで
コワレルマデ。
黒子にとってそれが【物】じゃなくて
【人間】だっただけの違い。
今や黒子にとってのバスケの存在は、
〝仲間との友情〟や、〝勝利への喜び〟なんて脆くて嘘くさいモノなんかじゃなくて
〝存在意義〟〝ただの快楽〟そして〝復讐〟
いま現在の黒子は、
キセキの世代や、自分の快楽の邪魔をするヤツらを壊すことしか頭にない。
「すみません、誤って手が滑ってしまいました。」
いつものように無表情で淡々と答える黒子はやはり飄々としていた。
「…っざけんなテメェ!!!ぜってぇ狙ってただろうが今のは!!」
火神が黒子の胸ぐらを掴み叫び散らした。
「その証拠はあるんですか?僕がワザと日向サンの膝にめがけてパスをしたっていう。」
火神の気迫に押されることもなく、
黒子はいつものように無表情で言った。
火神はキレたのか、無言で腕を大きく振り上げた。
火神は黒子の胸ぐらをつかんだままだ。
黒子は避けることもできないだろう。
「火神、やめるんだ。」
木吉が火神の腕を掴んで、危機一髪、黒子は殴られずにすんだ。
黒子はというとキョトンとした表情で木吉を見上げている。
火神は少しは頭が冷めたのか、冷静になって「…スンマセン」と言い、黒子を離した。
誠凛は一度タイムアウトを取り、女監督が何か指示を出しているのが見えた。
日向サンはいつの間にか担架で運び出され、救護室へと向かったようだ。
キャプテンが居なくなった誠凛は少なからず精神的にも、チームプレーにも支障が出るだろう。
高尾はというと、いつもの調子で黒子に話かけていた。
「黒子?!今の危なかったなwwwめっちゃギリギリだったじゃんwww」
何故か大爆笑していたが。
ふと何気なく観客席を見る。
黄瀬涼太以外のキセキの世代たちが全員バラバラの席に座っていた。
そのうちの約2名が驚愕していた。
「…た、かお…?」
1人は緑色のおは朝信者の電波野郎。
「なぜ、高尾くんが霧崎に居るんだ…。」
そしてもう1人は赤色の魔王。
他のキセキたちは高尾の存在を知らなかったのだろう、驚いてはいないようだった。
高尾が視線に気付いたのか、緑間の方向を向いた。
緑間の隣には、他の先輩らしき人達や、監督らしきおっさんが座っていた。
もちろんその人達も眼を丸くして驚いていた。
信じられない。というような眼だった。
高尾はその集団に向かって、笑顔を浮かべた。いつものような笑顔。
その笑みにはどこか狂気的なものを感じた。
ビーーッと機械的な音が鳴り響き、試合が再び再開された。
日向サンの代わりにコートに入ってきたのは
見た事のないヤツだった。
おそらく一年だろう。
猫目で、茶髪。チワワっぽい。
どこにでもいるような平凡な顔立ちだ。
遠くからでも分かるくらいに震えている。
あんなヤツが1人増えたくらいでは俺らは止められないな。
何を考えているんだろうか、あの女監督は。
こっちはというと、次からは瀬戸の代わりに高尾が入るらしい。
そーいや高尾も誠凛みたいなプレー嫌いって言ってたもんな。
高尾はニコニコと笑みを浮かべてコートに入った。
緑間の方を見ると睨むようにコッチを見ている。…が動揺を隠しきれていない。
どうやらまだ現実を受け止められていないようだ。
まぁこの試合で分かってくれると思うがな。
元チームメイトと元相棒の本性を。
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