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迷子の鈴音とうーくん 03 side 光
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色葉くんが羽衣くんと話している間、僕は鈴音くんと話していた。
僕の膝に乗って楽しそうに揺れている鈴音くんが落ちないようにしっかりお腹に腕を回して支える。
「ねー、ひーくん」
「なあに?」
「お手手パーにして?」
「こうかな?」
左手で鈴音くんを支えるようにして右手でパーをして差し出すと、薬指に填めている指輪がきらっと光った。
仕事中は指輪を填めないから、こういう休日に出掛けるときに填めるようにしている。
「ひーくんのお手手大きかねぇ?!」
鈴音くんは僕の手に自分の手を合わせて、嬉しそうに僕を見てくる。
僕の半分ちょっとしかない小さな手は凄く綺麗。傷なんて作らないで欲しいな。
「鈴音くんの手は小さいね」
「そうとぉ。僕の手もひーくんみたいに大きくなるとかな?」
「沢山寝て、食べて、遊んだら大きくなるよ」
「ほんとぉ?」
「本当だよ」
「じゃあ僕、ひーくんに言われたことしてみるけん!」
「うん、頑張ってね」
キラキラと笑う鈴音くんの頬に、自分の頬を擦り寄せると、鈴音くんも擦り寄せてくれた。
鈴音くんの頬はもちもちしていて気持ちよく、ずっとこうしていたい。
「ひーくん好きぃ」
「僕も鈴音くん好きだよ」
この子はまだ僕と色葉くんの関係を理解出来ない。
もし理解出来る歳になり、そのときに僕と色葉くん二人で会いに行ったとき、鈴音くんはどんな反応をするのだろう。
またこういう風に笑顔で話してくれるだろうか。
もうこうしていることも最初で最後なのだろうか。
嫌なものは嫌でいい。そう思っているのに、これが最後だと考えると悲しくなった。
「ひーくん、悲しそうな顔してどうしたとぉ?」
鈴音くんが心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。
子供の前でそんな顔するなんて情けない。しっかりしないと。
「鈴音くんとバイバイするのが悲しいんだよ?」
「僕も悲しかぁ。だけん、ひーくんまた僕のお家に遊びに来て?」
「鈴音くんはいい子だね。また行くからね」
「いい子にして待っとるけん!ねえ、またすりすりしよぉ?」
「ふふ。しよっか」
まだ分からない未来を案じて暗くなった気持ちを、鈴音くんと頬を擦り寄せて飛ばした。
未来はまだ分からないから意味がないんだ。
そうして鈴音くんと遊んでいると斜め前から視線をひしひしと感じたけど、気にしないで遊んでいた。
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