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視 side R
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悠真の入学用品を買いに行った帰り
駅前のタクシー乗り場で、見慣れた後ろ姿が目に入った。
タクシーから降りかけて
けど、もっぺんドアの中へ顔を突っ込んだ。
てゆうか
あれは、強引に引っ張り込まれたって感じに見えた。
―だとしたら。
タクシーに乗っとるんは、絶対、アイツや!!
「ちょっと!そこのタクシー!!」
私の大声に、振り返った夫が、青ざめて、中へ向かって叫ぶ。
「アカン!出んなっ!!」
チラッと見えた人影は、夫の腕に阻まれて、ドアの向こうに消えた。
「何すんのよ、ちょっと!逃げられたやんか!!」
走り去るタクシーをみて、私は叫んだ。
「何って、おまえこそ。こんなトコで何するつもりやってん?」
「ソッチこそ!なんで、こんな近所まで、あんな、…あんな奴とっ!!」
言い募る私の腕を掴んで、静かに夫が言った。
「とにかく。ここじゃアレや。…帰るで。」
―あ。
そうやった。
こんな駅前でハデに言い合うて。近所の人に見られでもしたら、えらいことやわ。
せかせか歩く夫の後を追いながら
私は、さっきの一幕が、知り合いに見られていないことを、必死で祈った。
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