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片付け 冬馬side
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俺は仕事が終わると、カウンターを布巾で拭きながら、また少し落ち込んでいた。
理由はさっきと変わらない。
お客様さんと話ている時は、少しは忘れられた不安も仕事が終わると一気に込み上げるものだ。
「冬馬、今日顔色良くないぞ?片付けはしなくていいからもう帰った方がいい。」
声をする方を向くと、そこに居たのは心配そうに俺を見る蒼弥さんだった。
そんな顔色悪いかな…
でも、俺の仕事なんだから甘えてばかりじゃダメだ…
「大丈夫です。ちょっと考え事してたからボーッとしてただけで…」
俺はそう言って、次の仕事へ移ろうとカウンターから手を離し歩き出す。
すると…
ダンッ!!
突然視界が揺れ、気づいた時には思い切りカウンターにぶつかっていた。
「冬馬っ、大丈夫か!?」
蒼弥さんはそんな俺の姿を見て慌ててそばまで駆け寄ってくる。
やば…
まじで目眩するかも。
ここ2、3日いろいろ考えててよく寝れてなかったからかな…
しかも店の酒の匂いでちょっと吐き気もする…
「えっ、冬馬??どうかしたの!?」
「蒼弥さん、冬馬どうしたんすか?」
蒼弥さん支えられている俺を見つけた他の2人も、驚いたように俺のそばにきた。
大丈夫。
そう言いたいのに、俺はだんだんと気分が悪くなり口を開いたら吐いてしまいそうで何も言えずに黙って俯く。
カウンターに片手をつき、もう片方の手で口元を覆った。
「一回スタッフルームに運ぼう。夏樹は冬馬に肩貸してやれ。あと、柚李は先にソファの上の物どかしに行け。…俺は薬箱の中に吐き気止めか何かないか探してくるから。」
「わかりました。」
「わかった!」
そして俺は、結局何も言えずに夏樹の肩を借りてスタッフルームに運ばれた。
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