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「まだ怒ってんの?」
今が冬でよかった。お気に入りの黒いマフラーをぐるぐる首に巻いて例のアレを隠すことに成功した俺は、とりあえず大学には行くことに決めた。
ヨウも向かう場所は一緒なので、当然二人で行くことになるのだが、俺は朝の一件をまだ許していない。
なんでよりによって、こんな見えるか見えないかスレスレの微妙な位置にキスマークなんか…。
とは言っても、キスマーク自体はなんか嬉しかった。会っていない間もお前は俺のものだと言われているようで、ヨウの印は消えなければいいとさえ思う。
しかしだ。これが周りに見られるとなんて思われることか!まぁ大学の奴らは俺のことなんか気にしないだろうけど、灰里さんなんて絶対にからかってくる。これはもう100%確定だ。
はぁ…バイトの時はどうやって隠そうかな。
とまぁ、そんな訳で家を出てからヨウの呼び掛けにはずっと答えないでいるのだ。
「そろそろ機嫌直せよ。そんなに嫌だった?」
「…こんな見えそうな所につけるから悪いんだろ!別に悪いとか言ってない!」
「…へぇ。てことは、今度から位置に気をつければいくらでもつけていいってこと?」
「勝手にしろ!」
俺の言葉にそう言ったヨウほ、またニヤニヤと意地の悪そうな顔をしている。…クソ、こんなこと言うんじゃなかった。
そもそもヨウがあんな中途半端なところで止めるから、俺は朝からずっと悶々して…!
とまた本音を言いそうになったけど、そんなことがヨウに知れたら絶対からかってくる。もしくは今から帰ってヤろうとか言い出しそう。
俺はそう言うことを求めているのではないのだ!朝からあんなことをするのをやめてほしいだけで。
もう、こんなんじゃまるで俺が性欲モンスターみたいじゃないか。
「おっはよー!」
バシッとヨウの肩を叩いてきたのは、昨日放置してしまった希子先輩だった。
「はよ。朝から元気っすね」
「お、おはようございます」
ヨウはいつも通りの態度をとっているが、俺は謝ったほうがいいのでは…。昨日急に俺が出て行ったせいで、あの場の雰囲気が悪くなったのは確実だ。
言おう、言おう、ほら早くちゃんと謝って…。
「いやーっ、昨日はアツアツだったね!もっと尖ってるイメージあったけど椎葉くん可愛いね!うん!」
「…え?いや、あの…っていうか昨日、すいませ」
「もうギュンギュンきたもんね!可愛すぎて食べちゃいたいくらいだったからね!ていうか謝ることあったっけ?」
「あ…はぁ……」
すげぇマシンガントークだな。呆気にとられていると、ヨウがバシッと頭を叩いた。
「荒太戸惑ってんじゃねーか」
「あ、ごめんごめん!とにかく、ヨウとのことで何か悩み事があったらいつでも相談してね?力になれると思うから!」
「え…っと、その、ヨウとのことって……」
「…はぁ。あんたには絶対バレたと思った」
「……え、バレたってまさか」
「大丈夫、周りには内緒にしとくから」
そう言って、希子先輩は可愛く笑顔でウィンクをした。
えええええええ?!?!?!
心の中で大絶叫したけど、実際には驚きすぎて声も出なかった。
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