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「つぎ、なにのもうかなぁ。」
「……もう止めといたら?」
やだぁという返事が返ってくる。これ以上呑んだら明日がきついぞ。二日酔いになって参るのがオチだ。
「そろそろ出よう。」
「えー、やだぁ、まだおさけ……」
「あー…じゃあ、俺の家で呑み直そうぜ。家の方が何かと楽だろ。」
これで家に連れ込む理由が出来た。思わず口角が上がる。
「ん、そーする。ようのいえいく。」
酔った荒太は驚くほど従順だな。普段の意地を張って強がりな感じもいいが、この懐いた犬みたいなのもまたいい。何よりそのギャップがたまらない。
俺の家はここから一駅、荒太の家とは反対方向に進んだ街にある。
電車に乗っている間、荒太は楽しそうで、見ている俺も少し笑顔になった。
電車を降りて、道を歩いている時もずっとそうだ。車道と歩道を区切っている白線の横の、細い段差の上を、両手を広げて落ちないように歩いている。
たまにバランスを崩して落ちては、あはは、落ちちゃったぁ、と言って俺に笑顔を向けてくる。
可愛すぎるだろ。俺は衝動的に荒太を抱き締めたくなったが、グッと堪える。まだここは外だ。
その代わりに頭を撫でまわして、髪の毛をぐしゃぐしゃにしてやった。
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