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もうひとつの真実
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いつまで泣いていたのだろう。
泣き疲れて声も涙も枯れた。
溢れんばかりに出てきた涙は、もう出ない。
あんなに日向の名前を呼んでいた声も、
掠れていた。暫く室内は静寂に包まれていた。
その静寂を破るように、達実さんが口を開く。
「実はね、もうひとつ言わなくちゃ
いけないことがあるのよ。」
俺は無言で頷いた。
家族の事、火影日向の事などの
俺の記憶に無いことを全て知りたいと思った。
知る事で記憶が戻ってくるかも知れないと
思ったからだ。
どんなに些細な事でもいい。
「教えて、下さい。」
俺は声を振り絞って達実さんに頼んだ。
「後悔しない?」
達実さんは確認を取るように俺に尋ねた。
きっと、聞いてしまったら
後戻りができないからだと思う。
俺の表情を確認した後
「アタシ、嶺音くんの友人じゃないの。」
と達実さんは言った。
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