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それから数週間後の学期末テストが終わった2月末頃。最近じゃあクラスだけってよりは2年全体で普段にはない騒がしさがあった。
それは、もしかしなくてもあれのせいなんだと思う。
1週間後に控えた修学旅行。
それで学年集会を開いて説明をしたり、行き先について調べたり、3日目の自由行動でどこに行くか休み時間に話し合ったり。必ず1日に何回はその話題を聞いている。
「ルウちゃんちゃんと用意出来たの?」
「…今日タオル買いに行ったら全部揃う」
それは俺らの間でも言えることで、集会でしおりの説明をされているときに、早くもその時間に配られた、綺麗にホッチキス留めされたしおりを隣で綺麗に解体するという遊びをやり始めた愁にそんなことを聞かれた。
ちゃんと用意出来てる?って失礼だな。
まるで1人じゃあ何も出来ないみたいに言うな馬鹿。言っとくけど修学旅行3回目だからな。それで出来なかったら逆に凄いからな。
「俺はちょっとやばいかも。お菓子が収まりきらない」
「それは減らしたら良いんじゃねぇのかな」
「それルイちゃんにも言われた」
「だと思った」
修学旅行を遠足と勘違いしているのか、小学生が言ってきそうなヤバいのレベルに苦笑い。でも、それが菓子関係なのが愁らしくもある。
「…つか、それって向こうで買ったら良いんじゃ…」
「嗚呼、その手が!…あれ、でも結局帰りで困るから意味なくない?」
「どんだけ買うつもりなのお前は」
まさかの帰りで困ってしまう量。菓子への執念恐るべし。
「いざとなったらルウちゃんの荷物にお邪魔させてもらうね~」
「…嗚呼、うん…」
どうやら愁には数を減らすと言う選択肢がないらしい。そこまで買わなくても良いだろっていったら「地方限定買えるだけ買わないと損じゃん」って真顔で返された。愁の中では大量に買って当然ならしい。
京都だから茶菓子とか、抹茶系?後八ツ橋とか。菓子オンリー特集のガイドブックを広げてこれは買わないと駄目と俺に言ってくる。俺はその甘味への義務感は良く分からないけど、兄貴へのお土産に参考にさせてもらおうかな。
後、それから兄さんと父さんにも買わないといけない。と言うか皆の分。
何人位かな、10人とか…?それとももっと?
…俺愁にどんだけ買うのって言っちゃったけど俺も人のこと言えない量になりそう…?
「ルウちゃん今年は迷子にならないようにね」
「…五月蝿い馬鹿。なってないし」
あれはなりかけただけで決して俺は迷子になってなんかない。
そもそも、お前が菓子につられてふらぁっとどっかに行ってしまうのが悪いんだ。ふらぁって。菓子と磁石みたいに引き合いやがって。俺は悪くないんだからな。
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