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旅の恥はかき捨て …15
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久しぶりに感じた頭痛に、ルシエルは目を見開く。
「?……どうかした?」
「えっ?あ、いえっ!」
先程聞いた言葉は、ゲームでアルフレッドが主人公マリーに囁く言葉だと、ルシエルは思い出した。
ハッピーエンドを迎えて、さあこれからイチャイチャするぞ、的な挿絵がルシエルの目の前を過ぎる。
そのアルフレッドの色気たっぷりの絵を見て、前世--マモルが、妄想で抜いた事も、ルシエルは思い出した。
そっとアルフレッドの顔を見る。
挿絵ほど、色に溺れたような顔をしていないのは自分が男だからだろうか、とルシエルは考えた。
と、それを思った後、これはたまたま台詞に似た言葉が出ただけで、あの台詞ではないとルシエルは思い至った。
ゲームでは、あの台詞の後『一生君を離さない』と言う、プロポーズ的な台詞が出て来る。
しかし、そのような言葉がここで出る訳がない。
自分達は、どちらかに婚約者が見つかるまでの関係なのだから、とルシエルは心に刻んだ。
「本当にどうした?気分でも悪くなったか?」
「いえ……大丈夫、です」
「そうか。……もし、何かあれば、遠慮せず言うんだ。いいね?」
アルフレッドはそう言って、ルシエルを優しく抱きしめた。
その優しさに、ルシエルは気持ちを入れ替える。
今は自分の幸せを考えよう、と。
後悔しないように、と。
そうして、アルフレッドに甘えるように寄り添った。
屋敷に着くまで、二人は馬車の中でずっとそのままで過ごした。
屋敷に到着するや否や、アルフレッドはルシエルの手を引いて、自室に戻った。
侍女に下がるように命令し、ルシエルをベッドに押し倒す。
「あ、アルフ……ん、んんっ」
突然の激しいキスに、ルシエルは頭がクラクラした。
アルフレッドが身体を密着させてルシエルの上に乗っているが、ルシエルはその重さ以上に心地良さを感じていた。
アルフレッドにこんな激しい部分があったのかと、驚きもした。
上唇と下唇を交互に舐られ、舌で口をこじ開けられたかと思えば、今度は舌を舐られた。
「あふ、んぁ……っ」
クチュクチュと唾液の混ざる音がして、ルシエルは恥ずかしさでギュッと目をつぶった。
目をつぶるとすぐ、アルフレッドの手が身体を這うのを感じた。
「ん、んんっ」
アルフレッドに触れられたところから快感が拡がっていく。
ふと、胸に冷やりとした風を感じたと思った途端、素肌にアルフレッドの手が触れた。
「っ!!」
その手は首筋から胸へとゆっくり降りていき、脇腹を撫でた後に背中に回されてルシエルの上半身を起こした。
上着を脱がされたかと思うと、再びベッドに押し倒される。
その後、アルフレッドが上でモゾモゾと布擦れの音をさせたかと思えば、今度は素肌をルシエルに押し付けた。
「んんっ!」
上半身を裸で合わせている状況に、ルシエルは軽くパニックになった。
何せ、人生で初めての経験である。
アルフレッドの次の行動に、ルシエルは更に混乱する事になる。
アルフレッドが、ズボンに手をかけたからだ。
窮屈だった前が開けられたかと思えば、一気に膝まで降ろされた。
ビックリして目を開くと、身体を起こしたアルフレッドが、ルシエルのズボンを足から抜くところだった。
「あっ!」
と言う間に、アルフレッドはルシエルを下着のみの格好にした。
ルシエルが羞恥で固まっている間に、アルフレッドも同じく下着一枚の姿になる。
そして再びルシエルにのしかかってきた。
その刹那のアルフレッドの顔に、ルシエルは胸が苦しくなるほどの衝撃を受けた。
アルフレッドの顔は、ゲームの挿絵で見たどの顔よりも色気に溢れていて、性的な雄の目をしていたのだ。
欲情していると言うのが正しいだろう。
ギラリと目を光らせたアルフレッドは、噛み付くようにルシエルの唇に食いついた。
「やぁ、ふ、っ……んん、ん」
足を絡められ、腰を擦り付けられれば、ルシエルはアルフレッドの雄を下腹部で感じる事となる。
グリグリと押し付けられるそれは完全に勃ち上がっていて、ルシエルにその存在を主張していた。
その熱さに、ルシエルは有り得ない程の快感を感じた。
また、ルシエル自身もいつの間にか勃ち上がっていて、無意識に腰が揺れている。
他人の、好きな人のモノと自分のモノが触れ合うだけで、身体の芯に電気が走るように快感が駆け巡る。
それだけでイキそうになるほど、どんどん身体が追い詰められていく。
(気持ち、イイ、っ!)
人と素肌を合わせることが、こんなに気持ち良い事なのか!とルシエルは驚いた。
前世と今世合わせて、初めての経験。
知識だけは色々あるけれど、実際に初めて得る快感に、ルシエルは溺れそうになっていた。
遠い過去、自慰で得ていた快感は本当に独りよがりのつまらないものだったのだと気付かされた。
キスだけでこんな風になるのなら、その先の自分はどうなるのだろうと、初めての行為に期待で震える。
そこまで考えた時、ルシエルはハッと気付いた。
そう、ルシエルは"初めて"なのだ。
女に捧げようと思っていた初めてを、アルフレッドに捧げようとしている。
そこに、不満はない。
がしかし、不安がある。
「こ、怖い……っ」
アルフレッドの唇が首筋に移った時、ルシエルは思わずそう呟いていた。
このまま、この行為に浸ってしまえば、この先自分はどうなるのかと。
それはとても小さな呟きだったが、アルフレッドはそれを聞き取った。
そうして、唇を這わせていた行為をやめて、顔を上げた。
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