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思い
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「ごめんね!」
「全然大丈夫ですよー」
鈴は目の前に来て、その人たちと何か話している
俺はもう頭がいっぱいだった。
昨日までの俺とは違う。
もう鈴が好きと言ってくれた俺ではない。
それにまた身体を売ってしまったんだという事実が今更になって押し寄せてきて、痛さとか自分の浅はかさとかあの人の表情とか、頭の中に一切の余裕がなくなって叫び出しそうになる
「じゃあ、鍵開いてるから車のって!送ってく!この事は学校に内緒だよ」
「分かってるってー」
その人達が車に向かって歩いていくと鈴はベンチに座る俺に視線を合わせるようにしゃがんだ
「…感想は」
「…っ、なに、が」
「そんなの結が一番わかってるでしょ」
「お、俺はっ」
「俺は…何?」
「……ごめ、っ」
「何に対して謝ってんのか分かんない」
ずっと震えている手が更に震え始めて噛み締めた唇にまた血の味がした
「……ごめんね」
それは聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声
謝らなくてはいけないのは俺なのに何で鈴が謝ったのか分からない
「けど俺、怒ってるから。
結には嫌な思いしてもらう」
「…何でも、して、いいっ」
何だろうこの気持ち。
許されないことしたのに、そばにいていい資格なんて無いのに、なのに、それでも、許してくれるなら、鈴がもう一回笑いかけてくれる為なら、何をされたっていいと思う
「…来て」
「っ、…触らないで」
手を握られそうになって反射的に逃げる
俺、すごく汚いから。
知らない人のものを散々触った手。口だって、身体だって、全部汚い。
今座っている椅子だって、立ち上がったら後ろから出ている血のせいで汚してしまっているかもしれない
「嫌なことするって言ったでしょ」
「…っ、やだ」
「ほら、立って」
今度は抱き上げるように椅子から離された
「っ、や…鈴、っぅ…」
「俺しか見てないから」
鈴は少し屈んだ。
多分椅子に血がついていたのを拭いてくれているんだろう
「ほら、車行くよ」
「…っ」
抱き上げられて運ばれる
何か言いたいけど体は痛いし鈴も怒らせてしまったしで黙っていることしかできなかった
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