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カラオケの後は飯でも食いに行こうとなったが、あんまりキャーキャー言われる真島に俺の友人共のライフも尽きかけていた。
仕方ない。真島はこの辺で撤収させるか。
「ねーねーうめのん。真島くんに連絡先交換促してよー」
「え、なんで俺が。聞きたいなら聞けばあいつ教えてくれんだろ」
「バカ、それが聞けないのが女心なんでしょーが。うめのんのノリならそれとなくいけるっしょ」
うわ、めんどくせえ。
何で俺が他の男目当ての女子のために、そんな気を回してやらなきゃいけねーんだ。
女子に囲まれて困ったように眉を落としてる真島に目を向ける。
そもそもあんなに分かりやすく困ってんのに、なんで周りは気付かないんだ。
「おい真島、帰るぞ」
声を掛けたら、一気にえーっと女子のブーイング。
反対に男どもの明るい表情。現金な奴らめ。
そして話題の中心人物、真島はと言えば。
「――うん!」
先程の困った顔はどこへやら、俺の言葉に至極嬉しそうな笑顔で頷いたのだった。
「悪かったな。突然。ああいうノリ苦手だった?」
別に悪いとは思ってない。だが一応口先だけでも言っておくかと言葉にしたら、真島は慌てたように首を振った。
「ぜ、全然大丈夫だよ!楽しかった」
嘘だな。とは思うがまあアレか。
要は俺に嫌われたくないから気を使ってんだろう。
「それより高瀬くんこそ一緒に帰ってきちゃって平気?女の子たちみんな残念がってたけど…」
こいつアホだ。俺じゃなくて真島が帰ることにみんな残念がってたんだが。
やっぱりこいつムカつくな。
「なんで?一緒に帰るの当たり前だろ?俺達付き合ってんだし」
ニッとわざとらしく含みをもたせて言ってやったら、真島は思いっきり顔を真っ赤にさせて固まった。
面白い。俺の言葉一つでこんな風になる真島を、あの女子共にも見せてやりたい。
動揺しながら真っ赤になってるこの王子様見ても、まだあいつらキャーキャー言うんかね。
「それより飯食いに行こうぜ。腹減らねー?」
あいつらと行き損ねたし。
言うだけ言って真島の了承取らずに、駅ビルのマックにでもと勝手に足を進める。
が、不意に後ろ手を掴まれた。
「え、なに」
「わっ!あっ…と、ごめんっ」
真島は慌てたように自分から掴んだ手を離す。
何してんだこいつ。
まるで自分の行動に自分で驚いてる的な。
「ああ、もしかして都合悪い?なら無理しなくても――」
「ち、違う!行ける!行きたいです!」
なんで敬語だよ。
赤い顔で変に焦ってる真島とは対象的に、こっちは特になんの温度もない冷静な視線で俺より高い位置にある顔を見上げる。
その見上げた俺の視線ですら、真島はうっと何か息を詰まらせる。
最強に自惚れていると言われたらそれまでだが、しかしこいつほんと分かりやすいほど重症だな。
「じゃあ何」
とりあえず腹減ってんだから言いたいことあんならさっさと言え。
若干強い口調になってしまった感があるが、女ならまだしもまごついてる男ほどうぜーモンはない。
だがそんな状態の真島でも、周囲を歩く人々の視線は街角イケメンに対する喜々とした反応で溢れている。
世の中理不尽だ。
「…う、嬉しくて」
「…は?」
ようやく口を開いた真島は、熱でもあるんじゃねーかというほど浮かされた表情で、緩む口元を隠すように手のひらで顔を覆った。
こいつマジでバカじゃねーの。
「だ、だって高瀬くんから付き合ってる、なんて言葉言われる日が来ると思わなくて…」
声震えてるし。
しかも若干泣きそうになってんじゃねーか。
「大切にするね。俺、ホント高瀬くんのことすごく大事にするから」
あ、やばい。愛が重すぎる。
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