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獣vs猛獣+マキ=(化学反応)3
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百目鬼さんはスーツだったので、スエットに着替えてもらった。
むつ「うわっ、あんたスエット似合わねぇーな」
むつが嫌そうに笑いながらそんなこと言うから、神さんがムスッとしてる。
僕は両手を腰に当て、むつ君にお説教。
マキ「むつ君、百目鬼さんは今お客様だよ」
言われてむつ君は背筋をピッと伸ばし、営業スマイルで神さんを施術台へと案内した。
お仕事のスイッチの入ったむつ君はもう目付きから変わる。その表情に、百目鬼さんも少し感心したみたい。
むつは、神さんを施術台に座らせ、疲れの気になるところを聞き、特に気になるところはないと言う神さんをうつ伏せにして背中から開始。
背中を軽く押して首と肩の様子を見て、難しそうな顔して眉間にしわを寄せた。
むつ「スゲーな、鉄板入ってるみてー。凝ってる自覚とか無い…んデスカ?」
お客だと認識して、丁寧語を使い出したむつ君。
でもなんだかぎこちない。
むつ君ってば心底百目鬼さんが嫌いなのね…。
百目鬼「無いな」
むつ「スゲー凝ってガチガチだけど、普段から肩凝り感じない人デスカ?30分じゃどうにもなんないと思います、時間あれば1時間にした方がイイデスヨ」
百目鬼「凝ったと感じた事はない。今は仕事中だから無理だ」
せっかく接客だからってむつ君の態度が柔らかくなったのに、ツンケン返答する神さん。
むつ「んー、なら上半身だけにしますね」
神さんが素っ気なくてもむつ君はイラッとしてないのか、それとも我慢してるのか、営業スマイルのまま、サクサク肩を揉みだした。
むつ君、大人になったのかな?
むつは、この仕事をかなり真剣にやってる。
それは、マッサージをマスターするのは修二と華南を癒せる男になりたいから。このお店を経営するのは、修二と華南と一緒に暮らしていくため。
仕事は、恋人と一緒にいるためだとハッキリした目的がある。
むつ君は真剣な眼差しで力強く神さんの首肩をマッサージしてる。
あんなに食ってかかってた神さんに、話題を振りながら、神さんがあんまり喋りたそうじゃないのも空気を読んで、会話も減らし、黙々と施術していた。
むつ「力加減足りなかったら言ってください」
百目鬼「丁度いい…」
開始10分、首肩から背中に下りて力一杯やってるむつ君の額には汗が滲んでいた。
マキ「百目鬼さん♪、むつ君のマッサージ気持ちいい?」
百目鬼「……。あぁ…、こんなに力があるとは思わなかった。上手いな」
むつ君を見直したのか、神さんが褒めた♪
その貴重な褒めにどうか捻くれたり噛みついかないで欲しいなぁって思ったら、むつ君は意外と素直に照れながら真面目な顔。
むつ「ども。でも今日は時間ないんでサッと表面揉んだだけなんで、疲れを取りたいなら一度ガッツリ揉んだ方が良いし、全身の方が血流良くなりますから」
むつ君が素直に答えたから、自然と神さんも素直に答えてくれた。
百目鬼「あぁ、今度マキが来る時に一緒に来よう」
って素直すぎるから、むつ君がピクリと反応した。
むつ「マキと一緒に来られても1人づつしか出来ないから時間もったいないっすよ。ってか、まだ不安なわけ?俺とマキ見張ってないと」
折角和んだと思ったのに…
マキ「もぉー♪むつ君たら♪お客が増えたんだからイイじゃん♪」
むつ「…まぁ…。マキ、サンキューな」
マキ「どういたしまして♪。でもむつ君の実力だよ♪」
むつ「ッ…、照れっから、褒めすぎんなよ、俺すぐ調子乗るって華南に怒られてるから」
照れて笑うむつ君可愛い♪
華南に怒られてるって言いながら嬉しそうな顔してる。むつ君は暴走機関車だけど、本当に華南と修二のこと好きなんだなって伝わってくる。
むつのこういう反応見ると、神さんはどんな風に感じるか気になる。むつの恋人は、華南と…修二だから…。やっぱ気にしちゃうかな?
神さんの顔を覗いてみたけど、神さんは気持ち良さそうな顔して目を瞑ってた。
イイ感じに和んだ空気、もっと神さんにリラックスして欲しいな。ヨシ!僕も神さんの足を揉んであげよう
マキ「僕も百目鬼さんのマッサージしたぁい♪。ふくらはぎやっとくね♪」
百目鬼「は?。お前はやんなくていい」
マキ「なんでなんでぇ?僕マッサージ上手いんだよ」
百目鬼「いや、お前は休んでろ」
マキ「大丈夫だよ♪僕はさっきまでいっぱいほぐしてもらって元気だし、マッサージを最初にむつに教えてあげたの僕だからちゃんと上手だよ♪♪」
百目鬼「いや、だからそういうことじゃ…」
マキ「いいからいいから♪仲間に入れてよ♪。僕も〝神さん〟を癒したいから♪」
百目鬼「…」
少々強引にうつ伏せの神さんのふくらはぎをギュッギュッと押してると、神さんも諦めたのか、プイッと突っ伏した。
背中はむつ君が、そして足を僕がマッサージしてあげてる間、神さんは突っ伏したまま動かない。
癒しの曲が流れる店の中、僕とむつ君は静かにマッサージを続け、30分のマッサージがあっという間に終わってしまった。
ほんの30分。神さんは少しでも癒されたかな?
むつ君のマッサージは気持ちいいのはお世辞じゃないし、僕も心を込めてマッサージしたけど、時間が足らないよね。多忙の神さんには、全然疲れを癒すのに足らなかったんだろうなぁ…。
むつ「おい、マキ」
マキ「ん?何?」
むつが、振り返りもしないで僕を手招きしてた。
なんだろうと思って近づくと、むつが指さした先は、なんと、静かな寝息を立てて神さんが眠っていた。
マキ「きゃっ♪♪カワウィィー♪♪」
むつと僕にマッサージされた神さんは、気持ちよかったのか無防備に寝てた。
神さんの寝顔があまりに可愛かったからドキッとしたけど、よくよく考えたら新鮮なはずだ。
神さんは、いつも僕より先に起きて、僕より後に眠る。
働き者の神さん。
むつ「可愛いかぁ?」
マキ「可愛いじゃん♪。可愛いしカッコいいし」
なんかかんか、むつとあんなに仲違いしてたのに、油断するぐらいには嫌いじゃないってことだよね。
それとも…
気を張ってても寝てしまうくらい疲れて…
マキ「…、なんでもやってくれちゃうから…」
むつ「……………」
言葉に漏れたという自覚はなかった。
心底神さんが心配で、僕はどうしたらいいか迷うことだらけ。
前は、相手の望むする通りにすれば、それで良かった。相手も喜んだし僕も嬉しい。
だけど…、神さんは違う。神さんが望むのは僕の全てで、僕の気持ち、だけど神さんの独占欲は大きくて、僕の望みを叶えたいと言いながら、僕を独り占めしたい。僕の中の本当の自由を望みながら、僕を独占したいと矛盾したことを望む。
神さんといると、僕はどんどん我儘になっていく。
だけど、その我儘で神さんは喜んだり、怒ったり。
僕は、どうすればいいのかな?
神さんに甘えられて幸せだから、神さんにも甘えてもらいたいと思うのに、神さんはあまり甘えてくれないし、怒っちゃう……。
むつ「……、マキって…そんな顔もするのな」
マキ「え?そんな顔って?」
むつ「んー…、なんてーの、ヘラヘラしてんじゃなくて、百目鬼好き好きってテンション高いのでもなくて、こうジーンとっていうか…キューっとっていうか」
マキ「フフフッ♪どんなだよ」
むつ「ア?だから、こう、ジーンとしてキューっとするような、壊れちゃいそうで壊れないっていうか、大事なっていうか…、あーもー!お前普段いらんこと察するんだから察しろよ!」
マキ「フフフッ♪分かった察する♪」
むつはプクッとほっぺを膨らましてそっぽを向いたかと思ったら、寝ている神さんをジッと睨むように見て、拗ねたような声で言った。
むつ「…こいつ結構頑張ってんのな」
マキ「え?」
むつ「お前がそんな風な顔するようになったとかもそうだけど、俺、こんなに疲れが溜まってガッチガチな奴揉むの初めてだよ。結構ごつい奴揉んできたたら地震あったけど。俺の技術じゃ筋肉の表面すら解せてねぇよ」
結構ごつい奴って、キャサリンさんたちお姉さまのことだよね……アハハ…。
マキ「…やっぱり、疲れてるよね…」
むつ「そんな顔すんなよ」
マキ「フフフッ♪だからどんな顔?」
むつ「今は、泣きそうな顔」
マキ「へ?僕泣きそうでもなんでもないよ」
むつ「自分のせいだなんて思うなよ。こいつは好きでお前と同棲してんだろ、だったら多少の無理は付きもんだ。お前だって無理してんだろ」
マキ「無理なんかしてないよ、僕何にもしてない、全部百目鬼さんがやってくれちゃって、悪いとは思ってるんだけど、百目鬼さん僕がやると拗ねちゃうんだ」
むつ「…何にもやってなくないだろ、洗濯と洗いもんと掃除してるって言ってだじゃんか」
マキ「そんなのやったうちに入らないよ」
むつ「…そんなこと言ったら俺はどうなる。俺が歩くと修二と華南が俺の後ろくっついて来て俺の脱ぎ散らかし拾ったりゴミ片付けてくれたり」
マキ「むつはやらな過ぎ」
むつ「…」
マキ「怒らないでよぉ」
むつ「怒ってねぇよ。…俺たちも同棲して半年はぎこちなかったんだぜ」
マキ「えっ?見えない」
むつ「ちょっとしたことだよ。別に喧嘩したとかじゃねぇし。それに、学生の頃からお互いの家に泊まったりしてたんだから、そういう意味では慣れとかあるけど、それでも四六時中何ヶ月も一緒にいるのとはちげーから、それに、俺はしばらくそういうのがあるって気が付かなかった、俺鈍いからな。でも修二はそういうの気にして気い使って、就職した俺と華南を支えようって、自分は大学にバイトに家事にやってんのに…」
あぁ…、修二は頑張っちゃうもんね。
むつ「だから、マキも気にすんなよ。お前ら始まったばっかりなんだから色々戸惑って当たり前だぜ。なんでも上手く活かそうとするのはいいことだけど、上手くいかないって悩むのはちげーって奏一さん言ってたぜ。そうやって他人行儀になるなんて寂しいじゃん一緒に暮らしてんのに、家族なのにさ」
マキ「………か…ぞく」
むつ「だってそうだろ?結婚すんだろ?」
マキ「け…」
むつ「なんだっけ?なんたらって契約して百目鬼と結婚すんだろ?」
マキ「養子縁組の事?」
むつ「あー、それそれ。
チェッ、俺たちの方が先に結婚宣言したのに、お前の方が先にするなんてずりーよな。やっぱ金ねぇとなんもできねぇのな。
ってか、結婚式は絶対呼べよな」
マキ「は?」
むつ君、やっぱ元はノンケなんだなぁ…
とか、馬鹿だなぁって思ってたら、むつ君に睨まれた。
むつ「はぁあ?〝は?〟ってなんだよ、俺と華南とで修二とイチャイチャしながら参加してやるって言ってんの。まさか呼ばねぇつもりだったとか言うなよ」
マキ「いやいやむつ君。養子縁組って結婚式しないよ」
むつ「ア?何?お前ら式やらないの?やれよもったいねぇな」
もったいないってむつ君……
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