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月夜の庭、踊る星
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◇◇◇◇
『各自部屋に用意された衣装を着て、誰か分からないようにしてくるんだぞ』
なんてことを言われて解散をしたのはほんの数分前のこと
最後の撮影も無事に終わり
今日中には帰れるとの事だったが生憎天気が悪い為明日朝一番に皆で帰ることになった
残りの時間迄各自それぞれ過ごしてもいいのかと思いきやこっちに来る前に聞かされた例の打ち上げが本当に用意されていたらしくて、どうせ暇ならとせっかくの洋館を使って盛大にやるらしい
各自部屋にってことは既に衣装も用意されているらしくて本当に凝っているなんて思いながら戻ってみると確かに衣装が置かれていた
用意されていた紙袋の中に入っていたのは黒のタキシードと顔のほとんどが隠れる仮面
集合時間も迫って居ることだし早速手に取り着てみたはいいけども想像以上の悪さで笑ってしまう
「うわー……あははっ、なんか凄いな」
鏡の前で思わず独り言をこぼしてしまうほど似合わない姿に脱感だ
まだ仮面があるだけ良かった、これで顔も隠れるし……
なんてほっとしていたけどいざ付けるとなんだか間抜けで、きっとこいうのはかっこいい人が着て付けるからこそ似合うんだとしみじみ再確認するだけだった
「……髪の毛どうしよ」
タキシードと一緒に入っていた舞踏会への招待状
その裏に記載されていた二つの注意事項の一つに自分だとバレてはならないと書かれている
普通ならこの仮面をつけただけでもバレなさそうだけど如何せん髪型でバレてしまいそうだ
仕事中はいつも結んで居るから下ろしたら分からないかな……それともやっぱり結んでおくべきか……
鏡の前で結んでみたり下ろしたりを繰り返してはみたけど、どっちでもいいかなんて投げやりになってくる
たまには結ぶのは辞めようと結局は気分で決めて身支度を終えると集合時間に合わせて洋館へと向かった
着いてみると想像以上の煌びやかな景色に驚きの声が漏れる
映画の為に撮った舞踏会のシーンに戻った様に華やかで踏み入るのを少し戸惑ってしまうほど
でも周りを見れば皆、俺と同じように男性はタキシードに身を包んで仮面をつけているし女性もドレスを着て仮面をつけているから良かったと胸をなでおろす
もう一度中の様子を見てみるけどやっぱりキラキラしたままでこれじゃあ打ち上げなんてものじゃなくてパーティーに来たみたいだと思った
「招待状お預かりします」
入口の下ではこの打ち上げを主催した側の人達なのか招待状を渡さないと入れない様に人が立っている
その人達も形それぞれの仮面を付けているから顔が分からなくて、実はこの人が俺と仲の良い人だったらなんて考えると少し面白い
流石芸能界、とでも言うべきなんだろう
中に入ると外とはまた違った空気の流れでどこかの映画の中に迷い混んだような不思議な世界だった
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