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駅前にある大きなショッピングセンター。ここにリカちゃんと来ることはない。それは俺たちが教師と生徒っていう関係だからだ。
「どうやって探す?」
「拓海の買い物なら服とかだろ?それっぽいショップ行けば見つかるんじゃないか」
俺より拓海と一緒にいることが多い歩の案にのり、メンズショップをしらみつぶしに探す。
館内には他校の生徒も多く結構賑やかだ。この中から拓海を見つけるのは大変そう…と少しだけ憂鬱になった。
「なぁ。慧っていつもどこで服買ってんの?」
「あー…最近はリカちゃんと同じとこ」
「出たバカップル。どうせ兄貴が払ってんだろ?」
「1人だけの時は自分で払うし」
歩の俺を見る視線が呆れを表してる。何か変なこと言ったっけ?
「お前さ、それって兄貴がいなくても同じブランドの服買いに行くってことだろ。どんだけ兄貴中心なんだよ」
「うるさい。俺もそこのブランドが好きなんだからいいだろ」
と言っても1人で行くことは滅多にない。いつもリカちゃんと行って選んでもらうから。
アイツ俺よりも俺のサイズに詳しいし。それにリカちゃんが選んだ服で外したことはない。
別にリカちゃんの好きなブランドだからじゃない。
たまたまリカちゃんの好きなブランドを好きになっただけだ。
「やっぱ俺には慧と兄貴みたいな付き合い方は無理」
「俺も歩みたいになるのは無理」
「だろうな」
桃ちゃんと付き合い始めて少しはマシになったと思ったけれど歩は歩だ。自分の決めたことは絶対に曲げない。
「なぁ。もし歩だったらどうする?」
「は?」
「もし彼女がいて妊娠したって言われたら、どうする?」
フロアの道を歩きながら交わす会話。もし今の自分に子供が出来たら俺ならどうするだろう。
「俺なら相手の親とウチの母さんに頭下げる。子供が何言ってんだって相手にされなくても下げ続けるし、悔しいけど兄貴にも頼みこむ」
「それって産むってこと?」
「相手が望むならな。でも現実はそんなに甘くねぇだろ。今の俺には2人も守ってやれる器ねぇもん」
やっぱり現実的だと思った。歩はちゃんと周りを見て、自分のことをわかってる。
自分の出来ること、出来ないことを知っててとるべき行動に出るんだろう。
例えそれがみんなに理解されなくても守るモノの優先順位をしっかりつけられる男。歩ってそんなヤツだ。
「慧ならどうする?」
「俺は」
俺なら…………
「諦めるかな」
「だろうな。お前はそれっぽい」
「なんだよ。別に無責任に言ってるわけじゃねぇからな」
俺だって悩んで迷ってすると思う。
でも最終的には諦めてしまうだろう。
無責任だって言われても俺にはそんな重荷は背負えない。
「別に無責任だって言ってねぇだろ。お前は真っすぐすぎるから。それをどう受け止めるかは当人同士が決めることなんだし」
バカにすると思った歩は意外にも否定しない。
拓海を探しながらも話は続く。
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