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エドワードの憂鬱
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居ない。
おかしい。
今日はポーターと言っていた。
他の客の荷物を持って館内にいるのかもしれない。
そう思ったが、ポーターと言っていた今週、すでに水曜日だ。
「シンサクは?」
「実は体調不良でお休みをいただいております。」
真っ赤な顔の生命力に溢れた若僧が、体調不良?
どうにも信じられないが、木曜、金曜と会えないと、流石に入院したのかと思った。
「キミ、シンサクは?」
「そろそろ復帰する頃です。ご心配をお掛けして申し訳ございません。」
古参のポーターから頭を下げられた。
心配?
そうなのか?心配ねぇ。
何故気になるのか理由も自覚している。
好みのタイプではないが、寄せられる好意に絆された。
たぶん、好きなんだと思う。
研修生の出勤のない土日。
そして、待ちに待った月曜日。
ポーターとして復帰したシンサクに部屋へと鞄を届けてもらいながら、イライラと腕を組んだ。
こちらの心配など気付いてもいなかったのか、全くいつも通りの態度に頭にきたのだ。
部屋に入り、定位置に鞄を置いたシンサクの腕を引いた。
「え?」
「黙レ。」
抱きしめて、腕の中に閉じ込める。
「・・・先週ハ、ドウシテタ?」
「あ、あ、おれ。」
インフルエンザだったんです。
想定内の回答に、ホッと息をついた。
「トンプソンさ、ま・・・。」
おずおずと背中に手を回されて、あぁ、やっぱり。と思った。
「モウ、元気カ?」
「・・・はい。」
顎を掴んで顔を上げさせる。
真っ赤な顔、潤んだ目は、ワタシのことを好きだと叫んでいる。
「トン、プソン様・・・。」
唇を奪うと、シンサクの体から力が抜けた。
「負ケタよ。ドウシテダカ、シンサクの事が好キラシイ。」
「おれも・・・好きです。」
「知ッテル。」
力の抜けた体をもう一度抱きしめて、リリースした。
「ホラ、仕事シテオイデ。」
毎日、鞄を運んでもらってキスをする。
もう少し踏み込んだ事もしたいが、シンガポールにもうすぐ行くことを考えると悩んでしまう。
さて、いつシンガポールの件を言うべきか。
エドワードの苦悩は、しばらく続きそうだった。
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