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「課長、何だったの?」
派遣社員の寺田さんは、優しいお姉さんだ。
二年前から営業事務で来てくれている人で、本当は正社員になりたいと以前、こっそり教えてくれた。
寺田さんは凄く気の回る人で、正直、寺田さんがいてくれないとおれの仕事が回らない。
いっぱいお世話になっているから、頭の上がらない人だったりした。
「や、飲みのお誘いでした。」
「あらあら。」
笑いながら、メモを渡してくれた。
「遠野内科の松島様から、お電話くださいって伝言です。」
「ありがとうございます。」
今、商談中の案件かな。
ほんの少し期待してしまう。
結構頑張った金額を出したのだ。
まあ、よりけりだけど個人病院の場合は、奥様が病院を牛耳っている場合、凄く財布の紐がガチガチだ。
逆に、奥様が経営から離れている場合は、商談は総じて楽になる(気がする)。
今回の遠野内科の場合は、しっかり奥様が経営者の一人として君臨されているため、医療機器の説明を奥様にもプレゼンしたところだった。
モノを売る営業マンとしてこれだけは言えるのは、自分たちの商品は世界一だと信じていないと、なかなか買って貰えないってこと。
自分のところの製品のファンじゃないと、おれはプレゼンって成功させることが出来なかった。
とは言っても、他社の製品を貶すことはしない。
お客様って唯一、公平な立場で冷静に判断が下せる立場な人だから、きちんとうちの製品の弱いところを説明する。
だって、患者さんの命を左右するような機器だから、正直に包み隠さず話す必要があるって思っているからだ。
ドキドキしながら受話器を握った。
時刻は15時。
午後の診察前の、迷惑にならないゆっくりとした時間だと確認しながらコール音を聞いた。
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